再生医療
NKT細胞療法とは
採血により採取した抗原提示細胞(単球、樹状細胞)を活性化し、体内に戻すことでNKT細胞を活性化し、長期にわたり免疫力を強化します。
他の免疫療法と異なり、長期間・非特異的に免疫力を向上します。そのためがんを縮小するなどの劇的な効果は弱いですが、副作用も少なく、長期間効果があることで生存期間の延長が認められています。
- 手術後の再発予防
- 放射線・抗がん剤治療の効果の増強
NKT細胞療法の特徴
- 免疫賦活作用(樹状細胞成熟作用、IFN-γ分泌作用、チェックポイント阻害作用など)
- 長期免疫記憶作用


NKT細胞とは
NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)はT細胞、B細胞、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)に続く第4のリンパ球と呼ばれています。NKT細胞は、先天的に備わっている「自然免疫系」と生後獲得していく「獲得免疫系」の両方を同時に活性化させるため、長期にわたり免疫力を強化します。
具体的には、
- 樹状細胞を成熟させる=獲得免疫系の発現・保持
樹状細胞は抗原提示細胞の一つです。抗原提示細胞はヘルパーT細胞を活性化し、細胞傷害性T細胞(獲得免疫系・細胞性免疫)、およびB細胞の活性を刺激します。B細胞への刺激は抗体産生(獲得免疫系・液性免疫)につながります(後述の長期免疫記憶作用)。
特にがん組織では、がんが作る免疫抑制細胞や免疫抑制物質の働きで樹状細胞は成熟できなくなっていますが、人工活性化NKT細胞は樹状細胞を成熟させることができます(後述のチェックポイント阻害作用)。
- IFN-γを分泌する=自然免疫系の賦活
活性化NKT細胞は、IFN-γ(インターフェロン・ガンマ)という物質を出し、NK細胞(自然免疫系)、マクロファージ(自然免疫系)を活性化、増殖させることでウイルス、腫瘍細胞の排除を行います。
- チェックポイント阻害作用
活性化NKT細胞は、がん細胞が生体の免疫細胞の攻撃から自身を守るために用意した免疫抑制細胞を殺す働きをします。
- 長期免疫記憶作用
人工的に活性化されたNKT細胞は、がん細胞に対して獲得免疫系を発動・保持することで、長期間がんを攻撃することができます。
NKT細胞を用いたがん治療
理化学研究所及び千葉大学で研究が進められ、千葉大学、慶応義塾大学、国立病院機構にて臨床試験が行われています。
詳しくは下記リンクを参照してください。
理化学研究所生命医科学研究センター・がんの免疫細胞療法
千葉大学大学院医学研究院免疫発生学・非小細胞肺癌に対するNKT細胞を用いた免疫細胞治療(Chiba-NKT)
千葉大学大学院医学研究院呼吸器病態外科学・肺癌免疫治療